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コア資産のリターンを決めるのは投資タイミング?運用する期間?

フィデリティ証券

資産運用ではポートフォリオを守りの「コア」と攻めの「サテライト」に分けて管理する考え方がとても大切です(参考記事:コア・サテライト戦略とは?理想的な配分割合は?)。コア資産への配分割合は運用資産全体の7割程度が目安とされています。金額も大きくなりがちで「どのタイミングで投資をすればいいのだろう」と悩むこともあるでしょう。

ここでは、投資を開始するタイミングや運用する期間の違いによってコア資産のリターンがどう変わるのか、さまざまな資産クラスを組み合わせた複数のポートフォリオでシミュレーションし、結果を確認します。

コア・サテライト戦略とは?理想的…
データ分析の前提となるポートフォリオ

世界株式、世界債券それぞれへの配分割合を3パターンに分け「積極型」「安定型」「バランス型」とします。世界株式の値動きはMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス=世界株式インデックス、円建て)、世界債券はFTSE世界国債インデックス(円建て)を使用します。また、世界株式よりもさらにハイリスク・ハイリターンであるNASDAQ総合指数を参考として追加し、次の6つのポートフォリオで分析します。

  1. 世界株式インデックス
  2. 株式への配分が多い積極型(世界株式80%、世界債券20%)
  3. バランス型(世界株式50%、世界債券50%)
  4. 安定型(世界株式20%、世界債券80%)
  5. 世界債券インデックス
  6. NASDAQ総合指数

1989年12月から2021年12月までの6つのポートフォリオの値動きが以下のグラフです。NASDAQ総合指数が大きく値上がりし、他の5つが見えにくくなっていますので、タテ軸の上限を1,000としたグラフも掲載します。各ポートフォリオの値動きを見ると世界債券インデックスが最も安定しており、そのほかは株式の割合が高くなるにつれて変動幅が大きくなっています。

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購入タイミングの違いによるリターンの変化は?

投資期間を5年、10年、20年と設定し、一括投資時の購入タイミングによって6つのポートフォリオのリターンがどのくらい違うのか、以下の計算式で確認します。例えば、投資期間が5年の場合は、1994年12月から2021年12月までの各月の時価評価額と5年前の投資額を比べます。

リターン=(投資期間の経過時点での時価評価額 ÷ 一括投資時の投資額)

投資期間5年のリターンの推移

まずは投資期間5年の場合のリターンの推移を確認します。タテ軸はそれぞれの時点の時価評価額と5年前の一括投資時の投資額と比べたリターン(単位:倍)を示しています。リターンが1倍を上回っていれば投資元本よりも増えているので少なくともプラスになったと言えますが、時期によっては1倍を下回る元本割れとなっています。

特に、世界的な金融危機が起きた2008年以降の数年間はほとんどが1倍を下回り、5年程度の投資期間であればタイミングによって結果が大きく左右されることがわかります。

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このケースについて最大値、最小値、そして最小値から最大値まで並べたときのちょうど真ん中にあたる中央値を確認すると、以下のようになります。

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世界株式インデックスは中央値で見ると投資金額がおよそ1.5倍に増えたものの、最も悪い状況(最小値)では運用資産が半分近くまで目減りしています。ただ、最大値は3倍弱まで増えており、タイミング次第で大きなリターンを得られる可能性もあります。NASDAQ総合指数は世界株式インデックスと比べてぶれが大きく、まさにハイリスク・ハイリターンのポートフォリオとなっています。

世界債券インデックスは世界株式インデックスやNASDAQ総合指数と比べて最大値、中央値とも低い一方、最小値の落ち込み具合も相対的に小幅にとどまっています。また、株式・債券の2つの資産クラスを組み入れた積極型、バランス型、安定型はいずれも世界株式インデックス、世界債券インデックスの中間的なリターンとなっています。

投資期間10年のリターンの推移

投資期間10年の場合も金融危機時は厳しい運用成果となっていますが、それでもバランス型や安定型、世界債券は1倍を上回り続けています。つまり、どんなタイミングで投資を始めても、これらのポートフォリオで10年間運用し続ければ、最終的なリターンはプラスになったと言えます。

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最大値、中央値、最小値を数字で確認すると、以下の通りです。

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投資期間が2倍に延びているため、投資期間5年と比べて中央値がいずれも増えています。一方、NASDAQ総合指数は値動きが大きいためか、最小値は投資期間5年の場合よりも小さくなっており、投資タイミング次第で厳しい運用成果になることが確認できます。

投資期間20年のリターンの推移

最後に投資期間20年の場合を確認します。20年になると、どのポートフォリオであっても1倍を下回らず、6つのポートフォリオすべてでプラスリターンを獲得できました。過去のデータを見る限り、20年のように長期にわたって投資を続ける場合は、どんなタイミングで投資してもプラスのリターンを獲得できる可能性が高いと言えます。

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最大値、中央値、最小値は以下の通りです。中央値の水準は10年の場合と比べて着実に増加しています。

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最小値をご確認ください。投資期間5年・10年では積極型、バランス型、安定型の3つのポートフォリオの最小値は世界債券インデックスを下回っていましたが、投資期間20年ではいずれも上回る結果となりました。

投資期間が20年におよぶと、投資環境のさまざまな変化を経験するはずです。世界株式インデックスや世界債券インデックスといった各資産クラスにしぼって運用するのでなく、分散して運用することでこうした環境の変化に左右されにくいポートフォリオとなり、リスクを抑えられる可能性が高くなります。

まとめ

過去のデータを分析した結果、運用期間が20年におよぶような長期投資であれば、どのタイミングで投資したとしてもリターンはプラスとなりました。コア資産として株式インデックスファンドやバランス型ファンドなどを選ぶ場合には、個別の株式などと比べてそもそもリスクは抑えられているはずなので、タイミングを吟味するよりも長期間運用できるよう早めに投資を始めることが重要です。

みなさまの資産形成や資産運用の参考にしていただければと思います。

注:本記事の試算結果には信託報酬など運用にかかるコストは反映しておりません。

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