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一括投資と積立投資、どちらにすべき? リターンの違いをシミュレーション

フィデリティ証券

この記事のポイント

  • 一括投資は複利効果でリターンが大きくなりやすい反面、リスクも大きい
  • 積立投資は一括投資よりもリターンが小さくなるものの、リスクを抑えた資産運用ができる
  • 一括投資、積立投資のいずれであっても毎年の運用利回りに大きな違いはない

資産運用を始める場合、多くの人は積立投資を選ぶでしょう。一方で、退職金や相続などでまとまったお金が入った場合には一括投資という選択肢もあります。どちらを選ぶべきなのでしょうか。過去のデータをもとにいくつかのポートフォリオでシミュレーションした結果、一括投資は積立投資と比べて得られるリターン、リスクがともに大きい結果となりました。ぜひ参考にしてください。

データ分析の前提となるポートフォリオ

まず今回使うデータを確認します。世界株式、世界債券を投資対象とし、株式への配分割合が多い「積極型」、株式・債券への配分割合が等しい「バランス型」、債券への配分割合が大きい「安定型」の3つのパターンを以下のようにつくります。

1. 株式への配分割合が多い「積極型」:世界株式80%・世界債券20%
2. 株式・債券への配分割合が等しい「バランス型」:世界株式50%・世界債券50%
3. 債券への配分割合が多い「安定型」:世界株式20%・世界債券80%

注:世界株式はMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス=世界株式インデックス、円建て)、世界債券はFTSE世界国債インデックス(円建て)のデータをそれぞれ使用。

3つのポートフォリオで運用した場合の運用資産の推移は以下の通りです。2008年の金融危機前後、あるいは2021年までの値動きなどを見て分かるように、積極型は最も値動きの幅(リスク)が大きくなっています。最もリスクが小さいのは安定型で、バランス型は積極型と安定型の真ん中ぐらいです。

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1989年12月末の運用資産を100とした場合の3つのポートフォリオの値動き、各月末値で計算、フィデリティ証券が作成

一括投資と積立投資、リターンの違いは?

積極型、バランス型、安定型の3つのポートフォリオを使って一括投資と積立投資のリターン(運用成果)がどのように違うのか確認します。投資期間は20年を想定し、以下の計算式を利用します。

1. 一括投資のリターン=(運用資産の20年後の時価評価額÷一括投資時の投資額)

2009年12月から2021年12月(合計145カ月)の毎月の運用資産の時価評価額をそれぞれ20年前と比べます。ある時点で一括投資した運用資産の20年後のリターンを確認するイメージです。毎年の運用利回り(年率換算値)もあわせて確認します。

2. 積立投資のリターン=(運用資産の20年後の時価評価額÷過去20年間の累計の積立投資額)

2009年12月から2021年12月(合計145カ月)の毎月の時価評価額と、その時点までの過去20年間の積立投資額を比べます。毎年の運用利回り(年率換算値)もあわせて確認します。

一括投資のリターン

積極型、バランス型、安定型の3つのポートフォリオに一括投資した場合のリターンの分布は以下の通りです。横軸はリターン、縦軸はそのリターンが実現した回数(月数)を示しています。

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3つのポートフォリオに一括投資した場合の20年後のリターンの分布、フィデリティ証券が作成

例えば積極型の場合は、20年後に運用資産が投資金額の2.0〜2.5倍になった回数(月数)は24回ありました。ただし、リターンは2.0〜5.5倍超まで、ばらつきがあります。リスクが大きい株式への配分割合が高いためです。

一方で安定型は相対的にリスクが小さい債券への配分割合が高く、リターンの大部分は2.0〜3.0倍の範囲内となっています。バランス型は積極型と安定型の中間ぐらいです。

積立投資のリターン

積立投資のリターンの分布を以下に示します。積立投資のリターンは、3つのポートフォリオすべてが1.0〜3.0倍に収まっており、ばらつきの少なさが目立ちます。中でも安定型は7〜8割が1.5〜2.0倍に集中しています。

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3つのポートフォリオで20年間、積立投資した場合のリターンの分布、フィデリティ証券が作成

ポートフォリオ別のリターン:積極型が最も高い

3つのポートフォリオについて一括投資、積立投資それぞれのリターンを数字で確認したのが以下の表です。中央値とはデータを順番に並べたときに、ちょうど真ん中となる値です。積極型のリターンが最も大きいことが読み取れます。

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左:一括投資のリターンの最大値、中央値、最小値、右:積立投資のリターンの最大値、中央値、最小値、いずれも単位は倍、フィデリティ証券が作成

リターンの差が生まれる理由

積立投資と一括投資のリターンの差は、主に投資期間の違いから生まれています。一括投資の場合は投資金額すべてを20年にわたって運用します。一方で積立投資は、すべての投資資金をまるまる20年間運用できるわけではありません。19年11カ月目に投資したお金の運用期間は1カ月のみです。

そのため、積立投資の実質的な投資期間は一括投資の半分になり、長期投資で力を発揮する「複利効果」も一括投資と比べて得にくいため、相対的にリターンが低くなりやすいのです。一方で、積立投資の場合はリターンのばらつきが少なかったことも特徴的で、リスクを抑えた資産運用に適していることが分かります。

また、積極型、バランス型、安定型の3タイプを中央値で比べると一括投資、積立投資のいずれの場合でも積極型のポートフォリオのリターンが大きいことが確認できます。資産配分を考慮する際には、株式への配分比率を高くするか、低くするかによってもリターンが大きく変わります。

一括投資、積立投資で毎年の運用利回りはどう変わる?

最終的なリターン(運用成果)だけでなく、一括投資、積立投資それぞれで20年間運用した場合の1年間の利回りの違いも確認します。20年間のリターンを年率換算して運用利回りを計算します。

一括投資の運用利回り

一括投資の毎年の運用利回りは以下です。いずれも4~6%の範囲に収まる回数(月数)が最も多くなっています。ただし、積極型はばらつきが目立ち、相対的にリスクが大きいことが読み取れます。

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3つのポートフォリオに一括投資した場合の毎年の運用利回りの分布、フィデリティ証券が作成

積立投資の運用利回り

積立投資の毎年の運用利回りも確認します。一括投資の場合と比べて分布の形は異なりますが、やはり積極型のばらつきが目立つ一方、安定型は狭い範囲に集中するという傾向が確認できます。

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3つのポートフォリオに積立投資した場合の毎年の運用利回りの分布、フィデリティ証券が作成

ポートフォリオ別の利回り:一括投資、積立投資で1年間の運用利回りの差は小さい

1年間の運用利回りについて最大値、最小値、中央値を計算すると、以下のような値となります。一括投資、積立投資それぞれの中央値を見ると、株式の配分割合が多いほど利回りが高くなります。

ただし、一括投資と積立投資のどちらを選んだとしても、ポートフォリオが同じであれば、利回り水準に大きな差はないように見えます。むしろ、20年にわたるような長期的な資産運用の場合は、投資金額や運用期間のほうがリターンの大きさに影響していると言えるでしょう。

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左:一括投資の年利回りの最大値、中央値、最小値、右:積立投資の年利回りの最大値、中央値、最小値、フィデリティ証券が作成

まとめ

積立投資と一括投資それぞれで20年間運用した場合のリターンや毎年の運用利回りについて、世界株式と世界債券の組み合わせた3つのポートフォリオを使って確認しました。より高いリターンを目指すのであれば、実質的な投資期間が長くなる分だけ一括投資のほうが有利と言えます。一方で、リターンのばらつきが少ない、より安定した資産運用がしたいのであれば、積立投資が向いているでしょう。

もちろん一括投資か、積立投資かという二者択一で考える必要はありません。それらの組み合わせも含めて検討しましょう。

また、世界株式の割合が高くなるほど、中央値で見るとリターンが高くなっていることも確認できました。値動きの大きさを許容できるのであれば、株式など高いリターンが期待できる資産クラスを多めに組み入れることでポートフォリオ全体のリターンが高まると考えられます。

注:本記事の試算結果には信託報酬など運用にかかるコストは反映しておりません。
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