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人生100年時代といわれています。長生きするほど必要なお金も増えるため、生涯を見通した収支計画(お金のやりくり)をしっかりとプランニングする必要があります。生涯に訪れる3つのステージそれぞれでのお金(金融資産)の増え方・減り方をご紹介するとともに、各ステージでどう収支のバランスを取り、資産運用すればよいのか、ご説明します。
生涯に訪れる3つのステージ
人生には大きく分けて①現役期、②定年退職前後、③定年後、の3つのステージがあります。それぞれのステージでのお金(金融資産)の増え方、減り方をイメージ図にすると以下のようになります。
3つのステージでの金融資産の増え方・減り方のイメージ、フィデリティ証券が作成
1.現役期
学校を卒業した後に就職して定年退職までバリバリ働くような現役期はライフイベントが多く、子どもの教育費やマイホーム購入などのまとまった支出もあります。一方、給料が安定しており、キャリアを重ねるなどして増やせる可能性もあるため、金融資産は少しずつ増えていきます。
2.定年退職前後
再雇用・再就職が視野に入る定年退職の前後は、退職金収入などで金融資産が大きく増える可能性があります。ただし、現役世代と同じ水準の給料を得ることが難しい場合も多く、それまで貯めた金融資産を少しずつ取り崩すことになるでしょう。
3.定年後
完全に仕事をリタイアし、セカンドステージを楽しむ定年後は、安定した収入を公的年金に頼ることが多いです。生活水準や余暇の過ごし方によっては公的年金以上の支出になるため、定年退職前後よりも金融資産の取り崩し額が増えます。
ステージに応じた収支計画のプランニングと金融資産の貯め方、使い方
お金の面から見ると、この3つのステージは①資産形成期、②資産運用期、③資産活用期と言い換えられます。金融資産を長く取り崩し続けられるよう一部で収入と支出のバランスを見直したり、資産運用の仕方を変えたりする必要があります。
1.資産形成期(現役期)
資産形成期はいろいろなことにお金がかかりますが、節約できることも多いです。例えば、住宅ローンを借り換えたり、生命保険を見直したりする人も少なくありません。外食を控えて自炊する人もいるでしょう。支出を抑えてお金を十分に貯められるため、資産運用にあたっては「積極的に積み立てる(増やす)時期」となります。
2.資産運用期(定年退職前後)
資産運用期は、老後の生活を具体的に考え始める時期です。定年後のセカンドライフに備え、資産形成期までに貯めた金融資産を「なるべく減らさないように」生活することが大切です。収支計画については、支出を収入と同程度に抑えることを目標にしましょう。
3.資産活用期(定年後)
資産活用期の主な収入源は公的年金です。公的年金は一生涯受け取れるものの支出をすべてカバーできるわけではありません。収入よりも支出が多くなりやすく、貯めていた金融資産を取り崩して生活費などに充てる必要があります。そのため、資産運用の面では「運用資産を取り崩す(売る)時期」となります。
ただし、公的年金については、受給年齢を繰り下げて受給額を増やすこともできます。リタイア時期を先延ばしして長く働いたり、公的年金を繰り下げ受給して毎月の収入を増やしたりして金融資産を取り崩せる期間を延ばすことも、選択肢に入れておくとよいでしょう。
3つのステージでの金融資産の増やし方・使い方のイメージ、フィデリティ証券が作成
公的年金の繰り下げ受給とは?
公的年金は原則、65歳から受け取れます。ただし、受給タイミングを早めたり(繰り上げ)、遅くしたり(繰り下げ)できます。早く受け取りたい人は60歳から、遅く受け取りたい人は75歳からそれぞれ受給できます。受給開始のタイミングは1カ月刻みで変更できます。
受給タイミングをずらすことで、以下のように受給額が変わります。
- 繰り上げの場合:1カ月繰り上げるごとに0.4%減(60歳0カ月では24%減)
- 繰り下げの場合:1カ月繰り下げるごとに0.7%増(75歳0カ月では84%増)
注:0.4%減は2022年4月以降に60歳になる人が対象、75歳からの受給開始は2022年4月以降に70歳になる人が対象
まとめ
「定年後はこうなりたい」「あれに挑戦したい」など、誰しも理想のライフプランを思い描いたことはあるはずです。100歳まで生きることが当たり前の時代が近づきつつある中、長い人生をお金に悩まず元気に楽しく生活できるよう、日ごろから家計管理を意識してみてください。