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住宅ローンを借りる(組む)際には「団体信用生命保険(団信)」への加入が一般的です。住宅ローンを借りることで、加入している生命保険の保障内容が重複するかもしれません。賢くお金を使うためにも、住宅ローンを借りた後は生命保険の見直しを考えてみましょう。どのように見直すべきなのか、お伝えします。
住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは?
団体信用生命保険(団信)は死亡保険(注)です。保険金額が住宅ローンの残高と同額になっており、万が一の際には支払われる保険金で住宅ローンの残債を完済できるようになっています。多くの金融機関では団信への加入を住宅ローン融資の条件の1つとしています。
注:死亡時などに加え、「がん」と診断された場合にも保険金が支払われるなど疾病時に保険金を受け取るタイプの団信もあります。
住宅ローンの返済は長期間にわたります。そのため、住宅ローンの契約者が亡くなったり、重度の障害を負ったりするなどして返済が滞る可能性もあります。団信に加入していれば、遺された家族はローン返済に悩まず安心してマイホームに住み続けることができます。融資したお金が保険によって返済されるので、金融機関にもメリットがあります。
一家の大黒柱が亡くなることで、収入への不安はあるでしょう。一方で、まとまった支出になりがちな住宅ローンの返済負担もなくなります。そのため、生活を維持するために必要な支出は、当初のライフプランよりも大きく減ります。
生命保険の保障額はいくら必要?
そもそも、遺族に必要な保障額はいくらぐらいなのでしょうか。基本的には、想定される収入と支出の差額から手元にある金融資産を差し引いた額が「今後遺族が生活していくにあたり不足すると見込まれる金額」となり、この部分を保険でまかなうことになります。
生計を維持していた人が亡くなった場合の継続的な収入源として、遺族年金など公的年金の給付、遺児育英年金など職場からの給付、配偶者の収入、保有する金融資産からの配当収入などが挙げられます。一時的な収入としては、職場からの死亡弔慰金や死亡退職金などの給付、生命保険の死亡保険金などが考えられます。
継続的に必要な支出については家族の生活費(基本生活費)や旅行、帰省の費用(特別生活費)などがあります。基本生活費は一般的にはそれまでの7割程度が目安とされます。住居費、教育費、配偶者加入保険の保険料などもあります。一時的な支出は葬儀費用、お墓の費用、家を住み替える場合の引っ越し費用などです。
遺族の収入/支出の例、フィデリティ証券が作成
ここに挙げた収入と支出の差額からその時点で保有している金融資産を差し引いた金額が、生命保険で準備すべき金額(必要保障額)となります。必要な保障額は時間の経過とともに変化するため、定期的に見直すことが大切です。
マイホームを購入したら生命保険を見直そう
団信があれば遺族は住宅ローンの返済がなくなるため、継続的な支出である住居費の大部分が不要になります。住居費までカバーできるような金額が支払われる生命保険に加入している場合は、死亡保険額を減らして保険料を節約できます。ただし、加入中の生命保険だけではそもそも必要保障額を満たしていない可能性もありますので、一度確認しましょう。
団信でまかなえるのは住居費(住宅ローン相当額)のみ、という点は忘れてはいけません。生活費や教育費などほかの支出はその後も続きます。既契約の生命保険を単に解約するのではなく、住居費も含めた支出全体を踏まえて必要保障額を把握し、その上で生命保険への新規加入も含めて見直すことが大切です。
生命保険見直しのタイミングはライフイベント時も
生命保険を見直すタイミングは、マイホームの購入時だけではありません。結婚、出産、子の独立、定年退職といったライフイベントも生命保険見直しのタイミングです。家族構成が変わったり、収入が変化したりすれば必要な保障額が変わるためです。これまであまり生命保険の見直しをしてこなかったのであれば、ぜひ一度確認しておきましょう。
まとめ
住宅ローンを借りてマイホームを買うことは、同時にまとまった金額の生命保険に加入することにもつながります。今ある生命保険や必要保障額を見直して保険料が節約できれば、生活にゆとりが生まれるかもしれません。
また、生命保険は家族が増える(減る)、定年退職するといったライフイベント、ライフスタイルの変化に応じてその都度見直すことも必要です。生命保険を賢く利用し、お金を賢く節約するためにもぜひ、生命保険の保障内容などが自身(遺族)に合っているか、チェックしてみてください。