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マイホームの購入では一般的に住宅ローンを借りて、元本に利息を上乗せして毎月少しずつ返済します。住宅ローンの支払いで気を付けたいのが金利です。金利の差がわずかでも利息が大きく変わる可能性があるためです。具体的にどのぐらい変わるのでしょうか。シミュレーションした結果をご紹介します。
住宅ローン金利は3タイプ、7割の人は変動金利を選択
住宅ローンの金利には以下の3つのタイプがあります。
- 変動金利型:半年ごとに金利が変わる可能性がある
- 固定金利期間選択型:一定期間は金利が変わらない
- 全期間固定金利型:借入期間中は金利が変動しない
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2022年10月調査)」によると、住宅ローンを借りた人の7割は変動金利型でした。住宅ローン金利は毎月変わります。2023年3月時点の変動金利は0.5%程度、全期間固定金利は1.5〜2.0%程度です(金融機関によって異なります)。
住宅ローン利用者が選んだ金利タイプの割合、住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2022年10月調査)」をもとにフィデリティ証券が作成
借入金額4000万円、借入金利2%なら利息は1500万円超
住宅ローンの利息を確認しましょう。以下の条件でシミュレーションをします。
- 借入金額:4000万円(注)
- 借入期間:35年
- 借入金利:2%(全期間固定金利型)
- 返済方式:元利均等返済(毎月の返済額が一定)
注:国土交通省の「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、住宅購入者の平均借入額は注文住宅(土地を含む、全国)で3909万円、分譲住宅(3大都市圏)は一戸建てが3364万円、分譲マンションは3001万円でした。不動産価格は年々上昇しており、4000万円は現実味のある水準だと言えます。
この条件で住宅ローンを借りた場合、借入元本と利息をあわせた毎月の返済額は13万3000円です(千円未満を四捨五入)。返済最終回までの返済額の内訳は以下のグラフのようになり、利息の合計(返済最終回までに支払う利息の合計、水色の部分)は1565万円(1万円未満は切り捨て)となります。
毎月の返済額に占める返済元本と利息の割合、フィデリティ証券が作成
「たかが1%」と侮るなかれ、金利によって返済額は大きく変わる
住宅ローン金利には3つのタイプがあります。現在、全期間固定金利型は1.5〜2.0%前後が目立ちますが、変動金利型であれば0.5%ほどで住宅ローンを借りられる銀行も少なくありません。
そこで、金利の違いによって利息がどのぐらい変わるのか、シミュレーションします。あわせて、借入期間の違いによる変化も確認します。ほかの条件は借入金額4000万円、元利均等返済で変わりません。結果は以下の通りです。
利息のシミュレーション結果(借入金額4000万円、元利均等返済)、1万円未満切り捨て、フィデリティ証券が作成
シミュレーションの結果から一部を抜粋します。この3つのパターンを比べると、金利と借入期間の違いがいかに大きな利息の差につながるか、ご確認いただけるはずです。利息は金利が1%上がる(0.5%→1.5%)だけで500万〜800万円ほど増えます。1.5%上がった場合(0.5%→2.0%)の差はおよそ800万〜1200万円に達します。もちろん、借入期間が長くなることでも利息は増えます。
① 借入期間25年・借入金利0.5%:256万円
② 借入期間25年・借入金利2.0%:1086万円
③ 借入期間35年・借入金利2.0%:1565万円
住宅ローンはどんな借り方がベスト?
先ほどご紹介した3つのパターンについて、元本と利息を合わせた毎月の返済額、返済最終回まで支払う利息の合計などを表にまとめると、以下の通りとなります。
借入期間・金利別で見た毎月の返済額・利息の違い、毎月の返済額は千円未満四捨五入、合計利息は1万円未満切り捨て、フィデリティ証券が作成
利息だけを考えれば「借入期間は短く、借入金利は低く」したほうが良いのは間違いないでしょう。ただし、毎月の返済額を考えた場合はそれが必ずしも「財布にやさしい」わけではありません。高い金利でも借入期間を長くし、時間をかけて少しずつ返済するという方法もあります。
まとめ
できるだけ早く住宅ローンの返済を終えたい人もいれば、団体信用生命保険(団信)のメリットを受けつつ時間をかけてゆっくり返済したい人もいるでしょう。資産運用と住宅ローン返済のどちらを優先するべきかという視点もあります。いろいろなパターンでシミュレーションをした上で、ご自身の考えに合った借り方を選んでください。