2021年の世界経済見通し 金融専門家によるマーケット展望
これからは金融・財政刺激策により世界経済は健全な成長を続けると期待されますが、アセット別の見通しはポジティブなのでしょうか。2021年上半期の見通しを運用会社8社の金融専門家にヒアリングした結果をご紹介します。各市場を多面的に捉えたマーケット展望をどうぞご参考ください。
フィデリティ投信
大和アセットマネジメント
新型コロナウイルスの経済への影響が懸念されますが、極めて緩和的な金融政策を背景に、リスク資産への選好が継続すると想定しています。そのためリートや新興国の株式・債券にも物色が広がると考えます。また、新型コロナウイルスによる生活習慣の変化で、Eコマースやバーチャルサービスなど、テクノロジー関連への物色はより強まると考えます。
<株価>2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
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TOPIX | 1,700 ~ 1,980 |
日経平均株価 | 25,000 ~ 29,000 |
S&P500 | 3,270 ~ 4,040 |
香港ハンセン指数 | 25,200 ~ 29,000 |
<為替> 2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
---|---|
米ドル/円 | 102 ~ 108 |
ユーロ/円 | 122 ~ 132 |
ポンド/円 | 133 ~ 143 |
豪ドル/円 | 75 ~ 83 |
2021年上半期 金融市場の天気図
日興アセットマネジメント
アセットマネジメントOne
三菱UFJ国際投信
2021年は、中国債券、リート(特に米国)に注目しています。
中国債券はグローバルな主要債券指数への組み入れが進んでおり、FTSEラッセルの世界国債指数(WGBI)は2021年10月より組み入れを開始する予定です。そのため機関投資家を中心に注目度が高まっており、今後の資金流入が期待されるとみています。米10年債利回りが1%を割るなか、中国10年債利回りは3.2%%と高水準です(2020年11月末時点)。低金利環境下では利回りを求める投資家からのニーズを集めやすいと考えています。また為替は、人民元高が2020年6月より進行中です。米国でバイデン政権が誕生したこともあり貿易摩擦が引き続き再燃しなければ、人民元高が容認されやすい環境が続くとみています。
リートはコロナ危機により大きく下落しました。同じく下落した株価が急反発したのに対し、リートの反発はまだ限定的です。2021年はワクチン接種などにより、経済の正常化が進めば、割安感からの反発が期待されます。加えて、米国ではバイデン政権で検討されている法人税増税で株への警戒感が高まった場合に、逃避先としてリートが選好されやすいとみています。
<株価>2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
---|---|
TOPIX | 1,500 ~ 1,900 |
日経平均株価 | 22,000 ~ 28,000 |
S&P500 | 3,000 ~ 4,000 |
香港ハンセン指数 | - |
<為替> 2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
---|---|
米ドル/円 | 100 ~ 110 |
ユーロ/円 | 120 ~ 135 |
ポンド/円 | 130 ~ 150 |
豪ドル/円 | 73 ~ 83 |
2021年上半期 金融市場の天気図
HSBC投信
世界経済は回復局面にあります。パンデミックによる世界恐慌以来の深刻な景気後退からの完全な回復には時間を要しますが、2021年の経済回復が企業収益の伸びをサポートするとみています。一般的に、経済が回復する局面では株式への投資が妥当ですが、ワクチン普及や政策支援による回復ペースに応じて、魅力度は国や地域により異なります。2020年出遅れていた地域(アセアン諸国、南米、欧州)では、2021年に循環的な回復による株式市場の上昇余地が相対的に大きいと考えます。超低金利環境の中、期待リターンのさらなる低下が長期化することが考えられるため、市場の回復局面では、ポートフォリオにオルタナティブ資産を組み入れることも有効と考えられます。また、債券市場については、先進国国債の利回りが歴史的低水準となっており、期待リターンの低下によって、ヘッジ資産としての役割も果たせなくなっています。むしろ、アジアおよび新興国の債券により優れた投資機会があり、ポートフォリオのリスクを高めすぎないようにバランスを取るのに役立つと考えています。また、新興国債券は米ドル安の恩恵を受けることが見込まれます。パンデミックで遅れをとっていたREITについては、ワクチン開発のニュースで強く反発し、足元のアウトパフォーマンスにもかかわらず、株式や先進国国債を上回るプレミアムを提供しています。 高いボラティリティを許容できる投資家にとっては、長期の視点では、極端に低い政策金利に対して十分に魅力的なプレミアムを提供すると考えられますが、地理的に選択的なアプローチが推奨されます。
2021年上半期 金融市場の天気図
三井住友DSアセットマネジメント
2021年の世界経済は、新型コロナウイルスのワクチンの普及が主要国について半年程度前倒しとなる可能性があり、サービス消費の見通し改善をうけ、主要国見通しを上昇修正しました。2021年に魅力度が高いと考えるのは、米国株式、日本株式、新興国(特にアジア)株式、アジアリートです。
<株価>2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
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TOPIX | 1,660 ~ 1,910 |
日経平均株価 | 24,400 ~ 28,000 |
S&P500 | 3,400 ~ 4,100 |
香港ハンセン指数 | 24,000 ~ 29,000 |
<為替> 2021年6月末までの想定
安値 ~ 高値 | |
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米ドル/円 | 100 ~ 115 |
ユーロ/円 | 122~ 150 |
ポンド/円 | 140 ~ 160 |
豪ドル/円 | 65 ~ 85 |
ピクテ投信投資顧問
- ポイント1「新興国株式が先進国株式をアウトパフォームする」
2021年の世界経済は、新型コロナウイルスの大流行からの回復を背景に、力強い回復を予想しています。2020年3月以降の主要国の積極的な財政・金融刺激策により、来年の貿易、消費、設備投資は大幅に回復し、企業収益は前年比約25%成長すると予想しています。これに、流動性の伸びの低下に伴う株価収益率の約15%の低下を反映し配当分を加味すると、世界株式は2021年にドルベースで12%のトータル・リターンになると予想しています。
しかし、この株価の予想リターンは、地域毎の大きな格差が予想されます。新興国株式は中国のV字回復とドル安の恩恵を受けると思われます。新興国企業の収益は大幅に回復し、2020年のEPS成長の予想は先進国で見られるよりも傷が浅い9%の減少の後、2021年は33%程度の成長を見込んでいます。 - ポイント2「日本株が魅力的な投資先に」
日本は、欧米諸国と比べて国内の新型コロナウイルスへの対応が比較的良好であることに加え、中国の力強い経済回復から恩恵を受けると考えています。また、日本の株式市場は、資本財や自動車など景気循環型セクターのウエイトが他の多くの市場よりも高いため、世界がロックダウンから脱却し、世界貿易や設備投資が回復する恩恵を受けやすいセクター構成となっています。
世界第3位の規模を誇る日本経済は回復期待が強まっていますが、財政政策と金融緩和政策により、これからの数四半期にはさらに経済は加速するとみています。さらに、日本の株式市場は、世界の実質利回りのさらなる低下の恩恵を受けるとみられます。日本株式の株価収益率は、インフレ期待が上昇すると、他の多くの株式市場の株価収益倍率よりも相対的に拡大する傾向があります。 - ポイント3「環境関連株や景気敏感株がアウトパフォームする」
新型コロナウイルスの持続的な発生のリスクは欧米市場に重くのしかかっていますが、ジョー・バイデン米次期大統領の野心的な気候変動問題への対策や、欧州のグリーンニューディールにより、クリーンエネルギーなどの環境関連産業がアウトパフォームすることが予想されます。資本財・サービスや素材セクターなど、設備投資の回復に敏感なシクリカルセクターは、先送りされてきたテクノロジーのアップグレード需要の恩恵を受けるため、最も明るい見通しを持っています。これらのセクターは、世界的なリフレーションへの恩恵を受けると考えられます。 - ポイント4「ハイ・イールド債券の大幅上昇余地は限定的」
過去、ハイ・イールド債券の実質利回りと株式の配当利回りの差(イールド・ギャップ)が10%ポイントを超えたときに、ハイ・イールド債券は米国債に対してアウトパフォーマンスしてきました。その後、イールドギャップが 3~5%ポイントに近づくと、ハイ・イールド債券の好調な動きは薄れていきました。現在のイールドギャップは 1.5%ポイントであり、ハイ・イールド債が大幅に上昇する余地は非常に限られていると考えられます。 - ポイント5「ドル安の年に」
通貨に関して言えば、2021年はドル安の年になりそうです。その理由はいくつかあります。一つ目ですが、世界経済の同時回復を前にして、ドルの魅力は薄れていくだろうということです。二つ目ですが、米国の財政赤字の急増と、FRBによる緩和的な金融政策の継続が続くと予想されるため、財政政策・金融政策の両面での拡大が進み、それはドルにとってさらなる下押し圧力となる可能性が高いことです。そして、ドルは、金利や他の先進国との成長率格差などのファンダメンタルズが示唆する水準より割高な水準にあると考えています。 - ポイント6「金の上昇モメンタムが続く」
金は上昇傾向を維持すると考えます。景気回復をさらに加速させるニュースなど、個別材料により調整する局面もあろうかとは思いますが、世界の中央銀行による量的緩和の継続、ドルの弱体化、実質金利のマイナス圏へのさらなる低下などが金の需要を下支えすると考えるからです。こうした環境にささえられ、今後5年間の長期予想では、金価格はドルベースで平均年率7%の上昇と予想しています。
2021年上半期 金融市場の天気図
※掲載の情報はヒアリングアンケート回答者が回答時点(2020年12月上旬)の経済その他の状況ならびに見解を踏まえて作成したものです。また、情報提供を目的としたものであり、お客様の特定の投資方針や相場観等を推奨するものではありません。アンケート回答時点の信頼できると思われる情報に基づいて回答者が作成しておりますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。ご投資にあたっては、お客様ご自身の責任と判断で行っていただきますようお願いいたします。
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